【取材企画】鳥内さんの想い【第２弾】

入ってきて真っ先に目を引くのが、この「空中に浮いているイチゴ」。TVなどのメディアに取り上げられる程、斬新なスタイルのイチゴ狩りですが、なぜこのような形にしようと思ったのですか。

実は、最初はイチゴ狩りをやるつもりはなかったんですよ。イチゴの生産効率を上げる方法を調べてみると、海外のイチゴ栽培、特にイスラエルなどのトップレベルの国ではこのやり方が主流だったので、私たちもこの形で始めました。

イチゴ狩りを始めたきっかけは、「映え」でしたね。ここに椅子を置いてみたら結構「映え」まして。

きっかけは「映え」意識だったんですね。

そうそう。でもお客さんは結構満足してくれてまして、「こんな素敵なところない」とか「ゆっくり食べられるところが良い」といった感想をいただきましたね。毎回毎回来てくださる方や、近所のお友達を連れて来てくれる方もいます。

他にもこの形で良かったことが、ベビーカーが入れることですね。普通のイチゴ畑と違って地面が平らなので、ベビーカーでもスイスイ移動できるんですよ。小さなお子さんを連れたご家族にも喜んでいただいてます。

家族全員が楽しめるようになっているんですね。

はい。ゆっくり座れますので、おじいちゃん・おばあちゃんを連れて、ご家族全員で来ていただいても充分楽しめます。是非お越しください。

よく見るイチゴ畑とはかなり違いますが、ここはどういったハウスになっていますか。

植物のことを考えたハウスになってます。普通のハウスだと天井が低いので、換気で窓を開けると室温が急激に下がるんですね。それって植物にとってものすごく悪いんですよ。自然界で急に温度が下がることなんてないですから。

このハウスは天井が高いので、換気しても室温がゆっくり下がるようになってます。また、ハウス内を暖めるときもゆっくり暖かくなるので、温度変化が緩やかになるように設計されてます。

かなり自然に近い形で温度が変化するようになっていんですね。他にも気をつけている点などはありますか。

水をあげるタイミングにも気をつけてます。水をあげるタイミングはタイマーでやるのが普通なんですが、ととりべファームでは日射量を測定して適切なタイミングで水をあげるようにしてます。

植物も人間と同じで、「水いらない」って時があるんですよ。寒いときとか曇ってるときとか。水がいらないタイミングで水をあげるのは、植物にとってはストレスなんですね。でも自動的に水を吸ってしまうので、実が水っぽくなってしまい、美味しく無くなるんです。

なので、日射量を計測して一定量を超えたら１回水をあげてリセットする、また日射量を計測して一定量を超えたらまた水をあげる、という形で水をあげています。

徹底した温度管理と水分量の管理をしているので、安定した美味しいイチゴができているんですね。

そうですね。お客さんに「いつ来ても美味しいね」って言ってもらえたら良いかなって思ってます。

元々は違う業種に勤めていたと伺いました。そこから農家に転身、しかもイチゴを選択されたのには、何かきっかけがあるんですか。

元々プログラマーをやってまして、その時のお客さんとの会話がきっかけですね。その人は「農家の人は大変だよ。朝早く起きて泥だらけになりながら野菜作って。それでも単価が安いから、まあ労働に見合ってない」って言ってました。

そこで色々調べてみたら、今でこそ「スマート農業」と言うような、システム制御でイチゴを栽培する方法があったので、色々なやり方を考えてたら「できるんじゃないかな」って思ったのがきっかけです。

なるほど、いち早く「IT×農業」に着手されたんですね。

結果的にはそうなりますね。あとは国や県の制度が整っていた事と、地域の農協もバックアップしてくれると言う状況があったので、割とスムーズに始められましたね。

周りの環境も整っていたからこそ、挑戦できたんですね。ととりべファームを運営する一方で、「1010marche」と言う店舗も経営されていますが、こちらはどうですか。

「1010marche」ではフルーツサンドなどのスイーツを販売してます。イチゴをパック詰めして販売するだけじゃなくて、加工して販売できないかなって考えて始めました。コロナで客足も減ってしまいましたが、通販でも販売しているので、ここからは通販に力を入れていきたいですね。今度はパフェを通販で売ってみようかと考えてます。輸送に耐えられるようなパフェを作って、それを通販で販売したいですね。

鳥内さんの今後の展望について教えてください。

観光農園については、イチゴ以外のフルーツにも挑戦したいですね。メロン・葡萄・マスカットを考えてます。メロンは去年作ってみたら結構実がついたので、今年はイチゴのシーズンが終わったらメロン狩りを始めるつもりです。その後に葡萄・マスカットに挑戦して、いずれはフルーツ全般を取り扱えるようになると良いかなと思ってます。

他には、業界への貢献のためにコンサル的なことも進めていこうかなと考えています。「農業に参入したいけどやり方が分からない」っていう企業さんや若い人たちのために、自分の経験やノウハウを教えていきたいですね。自分が遠回りして苦労した分、後に続く人たちが遠回りしないように手伝えたら良いです。

新たな挑戦として、イチゴ以外のフルーツでもこの方法で栽培することに加えて、業界への貢献として、コンサル事業もされるということですね。

この業界にも「失われた20年」があるんですよ。今までイチゴの作り方って20年前と何にも変わっていないので。ととりべファームの栽培方法は、結構革新的な方法だと思ってます。この業界に革命を起こして、失われた20年を取り戻したいですね。

鳥内さんの革命が成功するように、私も応援してます。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。